フランシス・ベーコン その2 [notes]
ようやく、フランシス・ベーコン展を観ることができました。
面白かったのは、ベーコン自らの意向でほとんどの作品にガラス付きの額装が施されていること。
ガラスによって私たちは作品との間にはっきりとした隔たりを意識せざるを得ません。窓の外からベーコンが創りだした部屋を覗き見しているような奇妙な感覚に陥ります。その部屋では人体が溶けて流れ出したり、捻じ曲げられたりという奇妙な世界が繰り広げられています。
今展覧会での私の一番のお気に入りは『走る犬のための習作』。
デヴィッド・リンチの映画のワンシーンにありそうな絵です。
面白かったのは、ベーコン自らの意向でほとんどの作品にガラス付きの額装が施されていること。
ガラスによって私たちは作品との間にはっきりとした隔たりを意識せざるを得ません。窓の外からベーコンが創りだした部屋を覗き見しているような奇妙な感覚に陥ります。その部屋では人体が溶けて流れ出したり、捻じ曲げられたりという奇妙な世界が繰り広げられています。
今展覧会での私の一番のお気に入りは『走る犬のための習作』。
デヴィッド・リンチの映画のワンシーンにありそうな絵です。
フランシス・ベーコン [notes]
20世紀を代表する画家のひとり、フランシス・ベーコンの回顧展が3月から東京・国立近代美術館で開催されるそうです。
ベーコンファンの映画監督は多いようです。
私の知っている限りでも、ティム・バートンやクリストファー・ノーランといった映画監督が、自作品の中で小道具としてベーコンの絵を効果的に使っていました。
デヴィッド・リンチの映画にもベーコンの絵を想起させるような映像がたくさんあるように思えます。
ベーコンの絵の中のグロテスクな『身体』や奇妙な『空間』が映像作家たちの想像力を刺激するのでしょうか?
開催が待ち遠しい展覧会です。
奇蹟の画家 [notes]
石井一男という画家をこの本で初めて知りました。
ルオーを彷彿させます。暗い色調でありながら優しさを感じる不思議な魅力を持った絵。
この画家の人柄や歩んできた人生、生活ぶりにも心打たれます。
定職に就くことなく、アルバイトを転々としながら神戸市内の長屋で、清貧な一人暮らし。
20代の頃に絵を描いていた時期もあるが、本格的に描き始めたのが46歳。しかし、画家として売れたいとか有名になりたいというような気持ちは一切なし。
49歳での初の個展の売り上げもすべて寄付したいと画廊に申し出たといいますから驚きです。
個展を開催すればほとんどの絵が売れてしまうという70歳の現在もその暮らしぶりは変わらないそうです。
ちなみに、石井一男の個展が東京・銀座の枝香庵という画廊で1月27日まで開催されています。
考古学者? [notes]
絵を描くときはいつも、遺跡や化石を発掘しているような気分です。
自分でも驚くようなものが掘り出されるときもあれば、掘っても掘っても何も出てこない時もあります。
最近は何も出てきません…。
気長に発掘を続けるしかありません。
自分でも驚くようなものが掘り出されるときもあれば、掘っても掘っても何も出てこない時もあります。
最近は何も出てきません…。
気長に発掘を続けるしかありません。
↓発掘は続く…
ミクロコスモス 駒井哲郎 [notes]
世田谷美術館で駒井哲郎展を観ました。
いい展覧会でした。
銅版画家・駒井哲郎(1920-1976)のまとまった数の作品を観るのは初めてでしたが、どの作品も素晴らしかった。
ちょっとした感動でした。
芸術家とは彼岸にひとつの宇宙を創ることができる人だ、というようなことを評論家の坂崎乙郎氏が書いてたことを思い出しました。
まだ5月ですが、今年日本で開催される展覧会ベスト3に入ること間違いなしです。
会場には、駒井作品の銅版画技法についての詳細な図解やエッチング原版なども展示されています。
じっくり見ようと思うととても1日では足りません。
会期は7/1までですが、5/30から作品の展示替えがあるとのこと。
展示替え後にもう一度観に行く予定です。
ポロック展 [notes]
ポロック展を見てきました。
予算がなかったのかな?という印象の展覧会でした。
まず、残念なことに展示作品数が少ない。
ドローイングや後刷りのシルクスクリーンといった小品を含めても全部で60点余り。
また、今回の目玉『インディアンレッドの地の壁画』も決して傑作とは思えませんでした。
制作年順に展示されていたのは、作品の変遷がよく分かって良かったと思います。
傑作こそありませんでしたが、さすがに絶頂期のドリッピング作品はどれも圧倒的な存在感を放っていました。
意外だったのは、晩年の苦しい時期の作品の出来が意外と良かったことです。新しい発見でした。
ずっと見たかった『ブルー 白鯨』を見ることができたのも嬉しかった。
何だかんだ言っても、ポロック好きの私にとっては満足の展覧会でした。
予算がなかったのかな?という印象の展覧会でした。
まず、残念なことに展示作品数が少ない。
ドローイングや後刷りのシルクスクリーンといった小品を含めても全部で60点余り。
また、今回の目玉『インディアンレッドの地の壁画』も決して傑作とは思えませんでした。
制作年順に展示されていたのは、作品の変遷がよく分かって良かったと思います。
傑作こそありませんでしたが、さすがに絶頂期のドリッピング作品はどれも圧倒的な存在感を放っていました。
意外だったのは、晩年の苦しい時期の作品の出来が意外と良かったことです。新しい発見でした。
ずっと見たかった『ブルー 白鯨』を見ることができたのも嬉しかった。
何だかんだ言っても、ポロック好きの私にとっては満足の展覧会でした。
↑薄さをハードカバーの表紙でごまかした図録もとりあえず購入。
カラマーゾフの兄弟 [notes]
ドリッピングのポロック [notes]
今日、新宿駅でみつけたポロック展のポスターです。
ポスターの写真でもおわかりのように、絵の具をキャンバスに垂らすドリッピングという手法で描かれたポロックの作品。その魅力って何でしょう?
以下の若林直樹氏の文章は、ポロック作品を理解するためのヒントになると思います。長くなりますが引用します。
ポロック、デ・クーニング、スティル、ゴーキーなど抽象表現主義の画家たちの作品を理解しようとするには、まず体育家として彼らを理解しようとしなければならない。彼らは作品を作りながら、いったいどんな肉体的快感を味わったのか、と考えてみないと観客は泥沼の中に引きずり込まれてしまう。なぜなら、彼らは観客の美的な鑑賞など初めから考えていないからだ。(中略)スポーツ好きが勝手に飛んだり跳ねたりして、少なくとも誰にも迷惑をかけなければ、アァさわやかな汗をかいたなどと言っていてもかまわないように、抽象表現主義の画家たちも、さわやかで素直な肉体と絵画のつながりを求めていたのである。(中略)巨大な画面の上に自分のいちばん好きな色で、何を描こうとするわけでもなく、スイッと一筆入れるときの快感のことを想像しながら絵を見ていただきたい。それは絵の具とともにワープしていく感覚と言えるかもしれない。「さわやかで素直な肉体と絵画のつながり」…。(若林直樹著『現代美術・入門』より)
ポスター写真のポロックになったような気分で画面の中に入り込む。
それがポロック作品のもっとも正しい鑑賞方法なのかもしれません。
パウル・クレー展 [notes]
東京国立近代美術館で『パウル・クレー展』を観てきました。
クレーは特に好きな画家のひとりです。
作品も大好きですが、猫好きということや、絵を描くときは左利きで文字を書くときは右利きという自分との共通点を見つけて、より親近感を感じている画家です。
今回の展覧会では、制作過程によって作品をジャンル分けして展示しています。
作品が作られた過程がよくわかって面白い展示のしかたでした。
なかでも興味深かったのは、1度描いた作品を2つ、3つに切り離してそれぞれ別の作品にしてしまうということ。
切り離す前の作品の写真も並べて展示してあったので、どのように作品を切り分けたのかがよくわかります。
すでに完成度の高い作品に仕上がっているのに、それをハサミで切り分けようという潔さがすばらしいですね。
会場の出口ではあちこちから「面白かったー」という声が聞こえてきました。
もう一度観に行きたいと思う展覧会です。
クレーは特に好きな画家のひとりです。
作品も大好きですが、猫好きということや、絵を描くときは左利きで文字を書くときは右利きという自分との共通点を見つけて、より親近感を感じている画家です。
今回の展覧会では、制作過程によって作品をジャンル分けして展示しています。
作品が作られた過程がよくわかって面白い展示のしかたでした。
なかでも興味深かったのは、1度描いた作品を2つ、3つに切り離してそれぞれ別の作品にしてしまうということ。
切り離す前の作品の写真も並べて展示してあったので、どのように作品を切り分けたのかがよくわかります。
すでに完成度の高い作品に仕上がっているのに、それをハサミで切り分けようという潔さがすばらしいですね。
会場の出口ではあちこちから「面白かったー」という声が聞こえてきました。
もう一度観に行きたいと思う展覧会です。
↓440ページある分厚い図録を買いました。